海賊というよりも、、

2018年11月09日

今さらですか～？
と声が聞こえてきそうですが、
とても心に響いたので岡田准一さん主演で話題になった
「海賊とよばれた男」のモデル、
出光興産の創始者、出光佐三氏について書いてみます。

この作品、ベストセラー本として書店に平積みされていたことは
記憶があるのですが、
「海賊って、村上水軍とか？　歴史もの？」
と早合点してまったく、興味を向けることがありませんでした。

映画化されたことも知らなかったくらい。

海賊とよばれた男　dvd

わりと最近、テレビで映画が放送されたのですが、
チャンネルを変えながら、ところどころ、見ていました。

なので、初めからきちんと見ておらず、
満州へ行くあたりから、興味が湧き始め、注視。

国内外の大手企業による妨害にも負けず、石油を商う主人公に
映画ではそれほど共感はなかったのですが、
アポロマークが出てきたり、
イランへ日章丸が向かうあたり、
「あれ？　これって出光じゃないの？」
と気づきました。

父親の仕事の関係で出光の○周年社史など、
読んでいたので、「日章丸」という名前に覚えがあり、
「そういえば、タンカーの写真とかあったな」
と結びつきました。

当時は「なんでタンカーの写真を大々的に載せるのかな？」
と思っていましたが、すごい緊迫状況で
イランから石油を仕入れたのだ、と理解することができ、
百田尚樹さんの著書できちんと読み直すことにしました。

本で読むと時代が整理されて書かれているので、
集中でき、時代背景が分かりやすかったです。

敗戦後、仕事もないのに誰ひとり解雇しなかったことから始まり、
戦争に負けはしたけど我々は奴隷ではない、
と外資の傘下に下ることを拒み続け、会社の儲けよりも、
国が再び栄えるようにと大きな視野で挑んでいく姿にサムライの精神を感じました。

商売というと利益第一が当たり前のような風潮が今はありますが、
出光の創始者、出光佐三氏のポリシーは
「士魂商才」
詳しくはこちら

「なるほど～」と思いました。

お金は大事だけど、人はお金の奴隷じゃない。
お金ありきではないから、人員整理しないし、
筋が通らないことは断固断る。

お金とポリシーとのバランスって難しいけど、
両立させ、国のために（自国だけでなく、他国のためにも）働き掛け、
やりぬいた人ってほんとにいるんだな、と言葉できないほど感銘を受けました。

お金のために理不尽なことも受け入れる
お金のために自分を捨てる
お金のために信頼を裏切る
お金のために人を切り捨てる

日々、ニュースでもこのようなことが報道され、
身近にも大なり小なりありますが、
それは価値観が「お金ありき」になっているから。

お金が正義で、信頼できるのはお金、
になっているから。

ドラマでも「お金は裏切らない」なんてよく聞きますが、
本当にそうかな？

お金の価値って変わるし、持っていればそれですべてが解決する訳でもない。

お金目当てに近づいてくる人もいるかもしれないし、なによりも、どうやってお金を手にするか、が重要だと思う。

お金はエネルギーなので、偶然大金を手に入れたとしても、
それに見合ったエネルギーを自分が持っていないと、
お金に振り回わされてしまう可能性があるし、
お金が手元に留まってくれるとも限らない。

士魂商才のポリシーで生き抜いた氏は
自社の利益追求ではなく、侍のように誇り高く矜持を持って、
世の中のためになると思った商いをしたので
彼に魅力を感じてついて来てくれる人が多く、
絶対無理だと思われる融資も受けることができ、
大きなビジネスへとつながり、結果的に成功できたんじゃないかな。

社史にも「人間尊重」という言葉が掲げられた氏の
写真が掲載されていたことをおぼろげながら思い出しました。

海賊とよばれた男　下

この本は出光氏の生き様を描くことによって、
お金を人生の目的にしたり、
お金の下僕になってしまっていることに
気づくきっかけにもなるのでは？　と思いました。

　近年読んだ本の中で最も琴線に触れたのでご紹介しました。
出光氏は海賊というよりも、私にとってはポリシーを貫き、
会社の発展と両立させ、世のために貢献した模範的存在です絵文字